蝉しぐれ
藤沢 周平
・出版社/著者からの内容紹介・
清流と木立にかこまれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして忍苦。苛烈な運命に翻弄されつつ成長してゆく少年藩士をえがく傑作長篇
・解説より・
蝉しぐれというタイトルがよかっや。たぶんそれが私の眼を撃った。何気なく持って帰り、夜、枕元に置いて読み出したら、いつの間にか朝になっていた。
少年の日のように読んで徹夜してしまったのだ。私は文芸批評を始めてほぼ三十年に達する。本を読むことにかけては、すれっからしである。この『蝉しぐれ』は、そんなすれっからしを、少年の心に返してくれた。フランスのチボーデという批評家が、批評家になってしまうと、もう二度とあの少年の読書の幸福は味わえない、と言っているが、この小説は、正しくその幸福を私に与えてくれた。 秋山 駿
あぁ〜〜(嗚咽)
よかった。
今さっき読み終わったんですけど、
よかった。
藤沢周平さんの作品は初めてです。
でも一昨年かそのもう一年前か、映画化されたときから気になってた作品でした。
今回は友達から借りた本なので返さなくてはいけないのですが、この本は是非手元に置いておきたい一冊です。
主人公・文四郎の青春からいっぱしの男になるまでの半生が、季節折々の美しさや、時代相応の描写で美しく描き出されています。
慣れ親しんだ友も自分なりの道を選んで成長して行く姿や、それでも、いつまで経ってもかわらない友情など、ほほえましい場面もちらほら。
そして、隣家のお福との淡ーい恋。。。(ホントに淡い)
文四郎とお福のその場その場のやりとりがなんとも言えず、心を動かされます。
最後の章「蝉しぐれ」では思わず涙がでそうになりました。
話も分かり易く自然と物語に引き込まれ、文四郎にも同調できました。
物語の歯切れも良くて、長編なのにあんまり「長い」とは思いませんでしたね。
全体の雰囲気を抽象的に言うと、「水彩で描いた風景画」って感じです。(意味不)
でも、「この本と出合えて本当によかった」と思えた素晴らしい本でした。
おすすめです。