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今年最初のブックレビューは言わずと知れた名作「砂の女」。
年始からかなり濃いものを読んでしまいました・・・。
高知の祖母の家に帰った際、書庫をあさってたらでてきたのがきっかけ。
まぁ、前から気になってた作品ではあるんです。もちろん。
というわけで、どんなはなしかというと・・・
海辺の漁村に昆虫採集におとずれた男が砂のくぼみに暮らす未亡人の家に無理やり住まさせられるはなしです。
いたってシンプル。
登場人物も男と女と村の人々くらい。
名前もでてこない。
でも、急激に異世界へつきおとされた男の心理の展開にスリルとサスペンスがあります。
同じ屋根の下に暮らす、男と女。
人間の野生的で根源的な本能や、理性の危うさがまがまがしいほどリアルに描かれています。
年明け早々、久しぶりに本を読んで発狂しそうになりました
それほど強烈。
ところどころに現代社会に対する批判的なものがうかがえましたが、社会にでてない私がいうのもなんですけど、日本の社会ってこの頃からあまり変わってないのかな・・・・
今にも通じるものがありました。
文章は読みやすかったです。
薄いし、すぐ読めます。
ちなみに私が読んだ文庫のカバーはこちら ↓
こっちの方がなんかまがまがしくて雰囲気はあってるかも。
「太宰文学は、ハシカのようなものだ」
今日は、太宰治が生れて、
そして、死んだ日です。
100年も前の、
ある一人の男のことばが
なぜこんなに胸に染みるんでしょう
それは、人間は今も昔も変わらないということ
そんな当たり前のことを鮮やかに思い出させてくれる
だれもが隠し持っている傷を自らさらけだして、傷を舐めあう術を与えてくれる
破滅的で 救いようのない人だけど
愛しい
太宰はそんな人です。
新潮社
¥ 420 コメント:重松清さんの「ダザイくんの手招き」を夜、寝る前に読んで、ボロ泣きしました。「人間失格」を読み終わって間もなかったからなのか、深夜という多感になりやすい時間帯だったからなのか…。ダザイが目の前で手招きしている姿が浮かんできます。 |
内容(「BOOK」データベースより)
パビナール中毒、入院、心中未遂…なお惑乱と絶望の時期はつづく。やがて訪れる転機。時に太宰、30歳。生への意欲が燃え、文学への情熱が湧きあがる。名作「富岳百景」他の諸篇が書きつがれ、書下し創作集『愛と美について』が生まれる。 (ちくま文庫)
出版社/著者からの内容紹介
有名な表題作を初めとして,日本昔話を意表をつく展開で語る「お伽草紙」から「浦島太郎」「カチカチ山」,その他「女生徒」「魚服記」など,短編の名手太宰治による軽妙な8編.〔解説・関川夏央〕
内容(「MARC」データベースより)
友情の究極の姿を描き感動を呼ぶ「走れメロス」、「富士には月見草がよく似合う」の名文句で知られる「富岳百景」など、短編の名手太宰治による、ユーモアと明るさを秘めた8編。(岩波文庫)
これも例の授業用。
でも、前から気になってた一編。
太宰治は「晩年」と「御伽草子」とか、代表作とはちょっとずれたものばかり気づいたら読んでいて・・・。
いつかは「人間失格」とか読もうとは思うんですけど、今回もちょっと毛色の違う「女生徒」(1939年発表)という短編を選んで読んでみました。
話は単純で、ある女生徒の1日を彼女の目線を通して描いたもの。
まず、男性の太宰になんでこんなのが書けるの!?とビックリ。
すごい、これは想像力?それとも経験値?
太宰先生、教えて!笑
女性でもない、少女でもない、微妙な時期(強いて言えば娘時代?)の初々しさがもうひしひしと伝わってきます。
1日の中でめまぐるしく変化する多感な心の機微を軽快な文章で描写していて、女性の私としてはなんか自分の物語を読んでるような気さえしてきました。
きっと、女性なら感情移入してしまうはず。
すきなシーン。
「みんなを愛したい。」と涙が出そうなくらい思いました。じっと空を見ていると、だんだん空が変わってゆくのです。だんだん青味がかってゆくのです。ただ、溜息ばかりで、裸になってしまいたくなりました。それから、いまほど木の葉や草が透明に、美しく見えたこともありません。そっと草に、さわってみました。
美しく生きたいと思います。
私も!っとつい賛同の声を読みながら心の中であげていました。笑
これから年をとって、いろんな事を経験して世間の荒波にもまれながらも(笑)こういう、夕日を見るだけで泣きたくなっちゃう様な、この女生徒みたいに多感な心は失くさずに持って生きいたい、そう思いました。
んーこれは心の1冊にランクインかも
「御伽草子」がほんとビックリするぐらい面白くて、今回も「人間失格」という著書からイメージするような著者とはかけ離れた太宰治の一面をみれて面白かったです。
うーん、こうやっていろいろ読んでいくうちに太宰治がなんか愛しくなってきちゃった。笑
読めば読むほど魅力的な作家な気がします!
まだまだ著書はあるので読まなきゃ。
PS
今日、妹の本棚をあさっていたら岩波文庫でちゃんと女生徒も載っている文庫本を見つけました。持ってたんだ・・・。
気づかずに買おうとしてました。よかった、よかった。
・内容・
京の穏やかなある春の日から物語りは始まります。
―千恵子は神苑の入り口をはいるなり、咲き満ちた紅しだれ桜の花の色が、胸の底にまで満ちて、『ああ、今年も京の春に会った。』と、立ちつくしてながめた。―
捨て子ではあったが、京の呉服問屋の一人娘として美しく成長した千恵子は、祇園祭の夜、自分に瓜二つの村娘・苗子と運命的な再開を果たす。二人は双子だったのだ。互いにひかれあい、懐かしみあう二人だったが、永すぎた環境の違いから、一緒に暮らすことができない・・・。京の美しい四季の移ろいを背景に、どこかいつも憂いをおびている二人のうつくしさをさらに際立たせる。由緒ある史蹟の数々を織り込み、流麗な筆致で描く長編小説。
再読。
去年、修学旅行で京都に行く前に先生から薦められて読んだ本です。
なぜ薦められたかっていうと、双子の一人・苗子がある村で高山杉という杉を加工する仕事をしていることもあって、小説内で修学旅行で行く嵯峨・嵐山がたびたび描写されているからです。
「高山杉をみていると、なんだか胸がすっとする」
「高山杉のように、まっすぐ生きたい」
と千恵子が言っているように、それほど太くない華奢そうな幹を、すっと空高く伸ばしている姿は実際に見てみると、確かに清々しいもの。(カバーイラストの木が高山杉です)
3月の下旬という中途半端な時期に行ったので、観光客もさほど多くなく、ゆっくりできました。
今まで行った京都の観光スポットの中では一番お気に入りかもしれません。
高山寺とか1週間くらい住み着きたいですもん。
あの公縁に寝転がって、さわさわ揺れる葉の音や、吹き込む風を感じながら一日中ごろごろしていたい 〜。(罰当りな)
ところで、小説はというと・・・
長編、っていうほど長くは無いです。
あっというまに読み終わってしまう感じ。
物語りも淡々としていて、あっさり。
この小説のみどころはなんといっても川端康成が描き出す京都のうつくしさでしょう
発表当時は京都の観光案内書だって批評されたそうですが、京に憧れを抱く私としては二次元で京の風情を堪能できるのは嬉しい限り。
それも川端康成の文だからこそ、さらに京の魅力が増し加えられているような気がします。
京=日本の美 という図式に弱い方はぜひ読んでみたらいかがでしょう
・この本を読んだ理由・
今学校で「近代文学を読む」という、週1で1冊近代文学を読んでみんなで報告しあうみたいな授業をとっていて(受講者5人)、その授業のためっていう理由がひとつ。
あと、中学生の時に読んで全くチンプンカンプンだったんですけど、頭のどっかにひっかかって忘れられないものが残ってて、「あぁ、もう一回読みたいなぁ・・・」ってずっと思ってたのがもうひとつの理由です。
今日、その授業の日だったんですけど、上手くみんな伝わったかなぁ??
というか、自分で何言ってるかわかってなかったからたぶんダメだと思う。笑
セレクトミスだわ〜
もうちょい自分の中で整理しておけばよかったと反省です。。。
にょぉあぁ〜人にものを伝えて理解させるのって難しいですよね。
しかもあたしぺちゃくちゃ喋れる性格じゃないので、沈黙が痛い。
大学にいったらたぶんこういう自分の考えとか思ったことを話したり発表したりする授業が増えると思うので、良い経験だと思ってあと3回の授業、ちゃんと受けようって思いました。
授業自体は面白いですし。
ちなみに他の子たちが選んだ本はというと・・・
文学少女のTちゃんは夏目漱石の「夢十夜」とシャミッソーの「影をなくした男」、海外文学専攻のKちゃんはヘッセの「車輪の下」、慶応の文学部進学が決まってるNちゃんは井伏鱒二の「山椒魚」、法学専攻のAちゃんは小林多喜二の「蟹工船」、で・早稲田大学で有島武郎を専門にしていたというミステリアスイケ面ダンディーな先生(笑)は夏目漱石の「こころ」(キター:笑)というラインアップでした。
先生一言 「『こころ』を読み出すと、どうしても音読しだしちゃうんですよね(苦笑)」
Nちゃん 「また娘に口きいてもらえなくなっちゃいますよー」
おもしろそうでしょ?笑
一癖二癖ある人ばっかだから、毎回いろんな発見をしては持ち帰ってます。
↓これは授業とってる子たちのため(先生にもだけど)に毎回レジュメをつくるのでそのときまとめたものです。私の解釈も含まれているので気をつけてください。
・内容・(1956年10月 新潮社より刊行)
1950年7月2日に実際におこった「金閣寺放火事件」を題材とし、犯人・林養賢を主人公とする。小説内では溝口という名で登場。
―幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。―から小説ははじまり、幼い頃から植えつけられた金閣=美という観念が、彼の生まれつきの吃音というハンディキャップや外見のコンプレックスと重なり、屈折を繰り返しながら、生きることから彼を遠ざけていく。
―どもりが、最初の音を発するために焦りにあせっているあいだ、彼は内界の濃密な餅から身を引き離そうとじたばたしている小鳥にも似ている。・・・私が手間をかけてやっと外界に達してみても、いつもそこには瞬間に変色し、ずれてしまった、・・・・・・そうしてそれだけが私にふさわしく思われる鮮度の落ちた現実、半ば腐臭を放つ現実が、横たわっているばかりであった―
―生がわれわれに垣間見せる瞬間的な美は、こうした毒の前にはひとたまりもない。それは忽ちにして崩壊し、滅亡し、生そのものをも、滅亡の白茶けた光の下に露呈してしまうのである。―
主人公が金閣放火にいたるまでの行程を、美文を駆使し緻密に描き出している。
諸外国でも翻訳され、ミシマ文学としても親しまれている。
2回目の今回はかなり丁寧に読んだのでアウトラインぐらいはつかめたと思うんですけど、まだまだわからないことだらけです。
ひとつ、「美」が人にもたらすものってなんなんだろうってことと、やっぱり「終戦」がその時代の人にもたらした影響ってやっぱり決定的なものがなにかあったんだろうなってこと、を少し思いました。
全然答えなんか簡単にでない小説なんですけど、読むと何か残ります。
三島由紀夫独特の世界観に酔いしれるのもいいですよね。
これからも読み続けていく一冊かもしれません。
晩年
太宰 治
・あらすじ・
妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残った著者が、自殺をを前提に遺書のつもりで書き綴った処女作品集。[撰ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり]というヴェルレーヌのエビグラフで始まる『葉』以下、自己の幼・少年時代を感受性豊かに描いた処女作『思い出』、心中事件前後の内面を前衛的手法で告白した『道化の華』など15編より成る。
爆笑問題のススメという番組の最終回でこの本のことが取り上げられ(太田さんオススメの本という事らしかったです)ていたのを見て読もうと思いました。
−選ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり−
なぜなら私が探していた言葉がこれだったからです。
心の中では自分は他より勝っていると思う自分と、こういう思いに駆られている自分を戒める自分が同居してるんです。
この心情はなかなか厄介なもので・・・。
この短編集は自分の消すことの出来ない性というものを思い知らされるような本でした。
短編ということで、いろんなバリエーションに富んでいるのでいろんな意味で楽しめるはず。
仮面の告白
三島 由紀夫
・あらすじ・
「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」
女性に対して不能であることを発見した青年が、幼年時代からの自分の
姿を丹念に追求するという設定のもとに、近代の宿命の象徴としての
“否定に呪われたナルシシズム”を開示してみせた本書は、三島由紀夫
の文学的出発をなすばかりでなく、その後の生涯と文学の全てを予見し
包含した戦後文学の代表名作である。
いやぁ・・・。
近代文学ですよ。
好きなんですけど、苦手です。
文を読んでても理解できないのは何故。
三島さんのは「金閣寺」から読んだのですが(今度紹介します)
好きです。
理解してないけど好きです。(ぇ)
ぜひこの言葉の操り方を教えて欲しいものです。
というか、仮面の告白についてですが、
序盤のインパクトが強すぎてそこぐらいしかはっきり憶えてません。(汗)
読んだのもかなり前でして・・・。(言い訳)
もう一回読まないと。
十分な感想がなくてすみません・・・。
今、本(仮面の告白)を開いてみると文字が大きくてびっくりしてしまった。
きっとすぐ読めてしまうはず。