よ、読み終わった
・・・長かった。
達成感がすごいです。
なんかすごいものを読んでしまった。
その割りに、終わり方があっけなくて、最後のページをめくって続きがないことに気づいた瞬間
「え!?今ので終わりなの??」と、しばらくポカーンと呆けていました。
でも、今思い返してみると名作にふさわしい堂々とした終わり方だったのかもしれません。
実際、続編を書いてくれと要望が相次いだそうですが、マーガレット・ミッチェル自身はもう物語りは完結したものとして、再びぺんをとることは無かったそうです。
でも、その後ミッチェルの親族が50年後著作権が切れ、好き勝手に続編をかかれてはミッチェルに申し訳がたたないということで、続編を書くにふさわしい作家を厳選して続編となる「スカーレット」、そして「レット・バトラー」が世に送り出されることになりました。
「レット・バトラー」が日本で発売されることになったのは去年じゃないかな?
続編・・・魅力的だけど、読まないかなー・・・悩みどころです。
絶賛する声があまり聞かれないですし・・・。
しばらくはこの作品自体の余韻に浸っていようと思います。
具体的な感想はというと・・・
5巻、合計1000ページにわたる大長編で、しかもちょっと抵抗を覚える
翻訳本。
ですが!途中でくじけずに読みきれました。指輪物語でくじけた経験があるので、少し不安だったのですがとても読みやすかったです。
外国人の名前もよくこんがらがるのですが、そういうこともありません。この人だれだっけ?ということはたまにありましたが、特に支障はないです。笑
もう、登場人物たちの一挙手一等速に引きこまれ、次は何がおこるんだろう?と物語の面白さに惹き込まれていきます。
しかーし!あまりにも傲慢で気が強く、人の気持ちを推し量るということをあまりしない(できない?)
スカーレットに途中で嫌気が差して読むのを放棄しそうになりました。
今では最後まで読んでよかった、と思いますけど。
スカーレットにも愛すべき点や尊敬できるところはいろいろありましたから。
また、スカーレットをとりまく登場人物のキャラクター設定がよくできています。
どんな人にも平等に接し、自己犠牲の精神を体現している心優しい聖母のような
メラニー。
男らしく、世渡り上手だが、なかなか本性を表にだそうとしない
レット・バトラー。
繊細で、実学よりも芸術を愛する文学青年
アシュレ。
キャラクターの色分けがはっきりしていて、またその対比がこの物語をいっそう面白くしています。
きっと読む人によって感情移入するキャラクターが違うんじゃないでしょうか?
わたしはいろんなキャラクターに、「あ、ここは似てる!」「その気持ちわかるわー」と部分的に感情移入してたような気がします。
すごい人間の二面性みたいなものが丁寧に描写されているので、誰かひとりに感情移入するということはなかった、というかできませんでした。
こういう風に、読む人によって着目する点が異なるっていうのもこの作品が多くの人に愛される所以なのかもしれませんね。
あと、言うまでも無くこの小説は南北戦争の動乱に巻き込まれながらも、自分のやり方で力強く生き抜いていくスカーレットの生き様を描いたものなんですが、アメリカ史を語る上ではずせない
南北戦争を描いたという
「時代小説」としての面もあるんです。
オバマ大統領の就任演説の文章にも、南北戦争の中で一番の激戦地となった「ゲッティースバーグ」のフレーズがでてきてました。
南北戦争とは簡単にいうと、黒人奴隷解放を訴える北部とそれに真っ向から反対する南部とでおこった戦争で、スカーレットは南部人なので南部側からみた南北戦争ということになります。
一部ではこの小説は南部の歴史を美化したものだという指摘もあるそうです。
それと関連して、もうひとつ問題にされるのが黒人に対する差別的表現です。
マーガレット・ミッチェルがこの本を書いた当時はまだ黒人に対する差別があたりまえだったのでしょうか。
かなり露骨に差別用語が使われています。
黒人の中でもこの小説(もしくは映画)に嫌悪感をあらわさずにはいられない人もいるそうです。
この本を読むことでいままであまり知らなかったアメリカの歴史や人種差別の問題について関心をもつことができました。
日本の時代小説ばかりに目がいっていたわたしですが、海外にもこんなに面白い時代小説があるのか!と新発見でした。
なんか、この大長編を読破したのが自信にして、これからは翻訳本にもどんどん挑戦していこうと思います!
ちなみに「風と共に去りぬ」を通してアメリカの人種問題について本にした方がいます。
少しトピックスが煩雑で、「なんでこの話になったんだっけ?」みたいなことがおこりましたが、当時のブームの様子や、「風と共に去りぬ」はどこまで忠実なのかや、黒人はこの作品に何を感じているのかなどまた「風と共に去りぬ」について一歩踏み込んだ解釈に役立つと思います。
あと、映画が家に調度あったのでひとりで夜中観てみました。
こういう古い映画を観るのは初めてだったのですが普通に面白かったです。
スカーレット役のヴィヴィアン・リーですか?
怒ってる顔が美しいって思ったのは初めてかもしれません
バトラーもアシュレもメラニーもみんなハマリ役です。
あと、想像にまかせるしかなかった華やかな当時の衣装をヴィジュアルでみれたのもよかったです。
あれは乙女心をくすぐりますね。
ばかみたいに機能性皆無ですけど
このようにエンターテイメントとしても読め、また時代小説としての面からもおもしろく読める「風と共に去りぬ」は古今東西を通して未だに光を放っています。